自作チョークインプット励磁電源回路図(フィールドコイルスピーカー用)

自作チョークインプット励磁電源回路図(フィールドコイルスピーカー用)

チョークインプット励磁電源回路図

チョークインプット励磁電源回路図、フィールドコイルスピーカー用に自作しました

 

ザクセンウェルケの励磁スピーカー

ザクセンウェルケの励磁(フィールドコイル)スピーカーを2本(ステレオ)入手できたので、試行錯誤の上、上記のような回路を組んでみました。

定電流回路が望ましいらしいのですが、そのような複雑なものはとうてい出来そうも無いので、それに近いチョークインプットで組みました。全て良い部品を吟味したので、電源としては部品代がすごかったですが、結構良い音が出ました。

チョークトランスは、チョークインプットだと専用のもので高価です。幸い、ヤフオクで良さそうなものを入手できて使いましたが、それでも安くない。

フィールドコイル電源

 

エクセルで計算して回路を検討

まず、このザクセンウェルケの励磁スピーカーの定格と実測抵抗値や整流ダイオードの抵抗値を調べたところ

・定格電圧: 90V
・定格電流: 75mA
・フィールドコイル抵抗値(調整後の実測値):左1382Ω、右1383Ω
・整流ダイオード抵抗値: 2.4Ω

というような値がわかりました。これらをエクセルに入力し、入手した数値を入力します。これらを基に数式を入れてチョークコイルに入力する電圧を求められるようにしました。

その上で、入手する部品(チョークコイル本体や調整用アッテネーター)の抵抗値を、使用候補の部品ごとに求めて検討を繰り返しました。

回路図には、採用した定数は記入していませんが、入手部品によってこの定数が決まるわけです。この作業は意外に楽しく、毎日、通勤電車の中など暇があるとこのエクセルを思い出して、回路や部品の吟味を繰り返しました。

フィールドコイル電源に限らず、回路の定数検討はこうしたエクセルを作成して、検討をしていくのをおすすめします。

 

追記と解説

(2020.3追記)当時、複雑なことはできそうもないので、真空管アンプの自作で何度も経験のあるアンプの電源回路を組む要領で製作しました。とにかく、評判の良い部品を投入して何とかしようという作戦です。

出川式ダイオードというのは、整流ダイオードを普通に使用すると、この後に繋がるコンデンサが充電するタイミングと放電するタイミングの切り替え時に一瞬電力が途絶えるのを改善するダイオードです。アナログ式のオシロスコープには同様の回路が標準装備されているそうです。また、オーディオ界で伝説のNEC(がオーディオメーカーに挑戦した時代があり)A-10というアンプにも同様な回路が搭載されていたそうです。設計者の鈴木哲さんは、今でも業界で活躍されています。リザーブ電源というのが、そのA-10に投入された鈴木さんこだわりの電源回路の名称です。

コンデンサは、音質的に問題の出がちな電解コンデンサを使わず、フィルムコンデンサを使用。特に整流直後をフィルムコンデンサにするのは、コストはかかりますが、真空管アンプでも良い手法だと思っています。長持ちしますし、整流直後は容量が小さい方が良いと、以前、ソフィアザールさんにアドバイスされていました。

電源スイッチとヒューズも、意外に音質に影響があるという考えもあって、それらが一体となったオーディオ向けの部品を投入しました。これは、秋葉のアムトランス(現在神田)の売れ筋商品でした。ヒューズは、オーディオ用という高価なものが各種販売されていて、結構影響があることを何度も経験しています。

苦労のかいあって、比較的納得のいく結果が得られたのですが、当時はこれをもう一つ製作する余力がなく、左右共用の電源として使用しました。左右独立でないというストレスが精神衛生上許せず、その後手放してしまった次第です。

 

励磁電源は奥が深すぎる

(2020.4追記)真空管アンプには必ず、増幅用の高電圧であるB電源を作り出すための電源回路があります。A電源と言われる、ヒーター電源と、固定バイアスの場合のC電源が電源回路で作り出され、音質に直結しているので重要な回路です。

一方の、励磁スピーカー用の電源は、スピーカーの電磁石に電力を供給するもので、最初は簡単で単純なものではないかと考えがちです。しかし、調べれば調べるほど、直接スピーカーの音質を左右する重要な回路だということが分かってきます。

スイッチング電源などもってのほか(製品化事例もいくつかありますが)で、ノイズの少ない高品質の電源が要求されます。ここまではオーディオ機器共通の話で、ノイズを少なくする努力はみながやっていることです。

励磁電源の場合、たとえ、高品質の電源が供給できたとしても、定格からの微妙な電圧の上げ下げで、まるでトーンコントロールのように音が変化します。

整流装置も、古いものの方が良いらしく、ダイオード<真空管<セレン整流器<タンガーバルブ<水銀整流器、という風にだんだん見たことがないような機器の世界になっていきます。

さらに、電源インピーダンスなどほかのファクターもいろいろ影響力があるらしく、かなり高電圧で作ってから下げていく回路など、独特の世界かと思います。本ページの回路で、自作したものの、先輩マニアの話やサイトの記事を見聞きすると、奥が深すぎて、自分には対応しきれないなという考えに至りました。よって、その後は、普通のスピーカーに戻している今日この頃です。

 

回路図・部品表カテゴリの最新記事