PCでハイエンドな音を(DACほか)2005.2

PCオーディオ、ネットワークオーディオに取り組んだ軌跡です。それらが意識され始めた頃(つまり初期)、どのような取り組みをしたかという資料として参考にして下さい。

CDをリッピング

PCをトランスポートとして活用するために、いったんHDD(SSDならなお良い)にリッピングします。ダウンロード配信のファイルもあわせて、PCの内部HDDまたは外付けHDD、あるいはNASにミュージックライブラリを作成するのが第一歩となります。
(2020.5追記)ただし、この作業は結構手間がかかるので、今後はサブスクリプション(月額固定性)のハイレゾストリーミングの利用が一般的になると思います。私は、現在MQA再生が唯一可能なTidalを契約していますが、日本語対応してなくて、国内音源も少ないので、本当なら他も同時契約したいのですが、コスト面で我慢しています。

リッピングを始めた理由

CDプレーヤーは、モーターの電源に対する悪影響や、音楽データの取り込みの失敗に対する補正でのごまかし(盤の状態が悪い場合で普通はあまりないようです)から逃れられません。そこで、もともとは最初にLinnがDSというシステムで提唱したCDをリッピングしてデジタルファイル化してから聴く方法を始めました。(2020.5追記)その後は、皆当たり前にこれを実践する今日この頃です。一方で、上記のようにこれからはストリーミングの時代だと思うので、仲間のマニアには、そんな面倒な作業は止めましょうと提唱しています。

 

総本山のLinnのDSを使うように

この数年間、百十番は真空管アンプをよりよい音で鳴らすため様々な対策を講じてきました。現在は、こちらの方法を経てLINNのDSに落ち着いていますが、以下は試行錯誤の経緯です。

★CDデータを高性能CD-ROM(プレクスター)でHDDにリッピング
★PCの静音化(水冷など)
★PCのノイズの影響を受けにくいUSBオーディオ
★USBオーディオからデジタル出力してDAコンバーター(DAC)へ
★2011年、ネットワークオーディオに嵌り、なんちゃってLINN・DSの国民システムを構築しました

(2020.5追記)その後、Linnは売却して、今年になってMQAにも対応する、メリディアン218を使うようになりました。

2005年頃に自作DACが流行

このページを作成した2005年当時、自作DACが流行しました。真空管DACを入手して、真空管クロック(那須のガレージメーカー製)も取り入れたりしました。以下はその当時の記録です。

高品位クロック

ホームページを読まれた方から、クロックの精度が高いからよいわけではなく、低ジッターになるクロックが有効なわけで「高精度」という表現はいかがなものか、と指摘を受けました。その後の研究でも仰るとおりで、ルビジウムなどは発振器の精度ではなく、周辺回路含めた部分で低ジッターに繋がっているというのが結論でした。よって「高精度クロック」は「高品位クロック」に読み替えて理解して下さい。(2012.2月)

じんそんさんのDACなど

じんそんさん(詳しくはリンクページへ)の「たまばっふぁDAC」を入手しました。こ、これはすごい!!更に、こんなものまで発見!!!サウンドデザインおきらく

どうも自作DACは侮れないようです。で結局、百十番自作機完成。一連のインプレッションと製作記はこちら(その後預かり手募集で貸し出したレポートはこちら

DAコンバーター(DAC)は、アナログ盤でいうカートリッジに似た世界です。音の入口であるため、機種によって凄く音が変わります。また、パーツや回路やチップの変更でもぜんぜん変わってきます。単にどちらが良いとかいう比較論ではなくなって別物という世界です。各種DACを使用したり自作したり改造していろいろと解ってきました。

 

デジタル音源の高音質再生には

高音質再生のためには、

1)CDからエラーやごまかしなくデータを吸い出す(バイナリ一致)

2)データの再生や伝送で発生するジッター低減
(アナログでいうノイズ?時間軸のずれでデジタル上のワウフラッターのようなものを減らす)

3)高精度のクロックでDA変換(上記ジッター低減策)

4)優れたDACでアナログ化

というのがセオリーであるように感じました。(2020.5追記)今考えると当たり前の話ですが、当時は、そうした基礎知識が不足していて、このページを作成した次第です。その後にわかったことを項目だけ追記しておきます。

5)デジタルケーブルやその長さも重要

6)PCオーディオの場合、ドライバ(ASIOやWASAPI)も重要

7)PCのセッティング(プレーヤーソフト、OSの選定やプロセスカットなど)

8)USBオーディオかネットワークオーディオか

9)通信プロトコル(最近研究が進んできました)

10)アナログノイズ対策(ケーブルを通じてノイズは伝わります)

もちろん、オーディオ機器ですからDAコンバーターも電源と振動は(アンプ以上に)重要であるようです。

 

システムからの石(トランジスタ類)の排除も試した

さらに、百十番の好みは「出来るだけ石を通さない音」です。じんそんさんの「たまばっふぁ」や最近海外のメーカーで目立つ真空管回路入りのCDプレーヤーやDAC(高い!)

更に、アマチュア自作派手評価の高いトランスIV変換とかチップのパラレル化による石(通常はオペアンプ)の追放です。真空管ファンとしては、レコーディングはどうしようもないので、再生側だけでもアナログ回路から一切石(トランジスター系)を排除した音が好きです。

自作の「たまばっふぁ」によって一旦はこれが実現できたものの2つの問題点が残りました。1つ目は、自作スキルの不足もあって低域は満足できるものの高域に不満が残ることでした。次々と発表される自作DACの中には良さそうな物もあるのですが、細かい工作が苦手な百十番はなかなか次に進めません。

2つ目は、そもそもCDの規格だと20KHz以上の高域が入っていません。バイオリンの倍音に代表される実体感の有無に繋がる単独では聞こえないはずの音がないため、これが入っているSACDには太刀打ちできませんし、アナログ盤にも負けてしまいます。CDには元々入っていないのですから、後は補正として付加することで成功するかどうかです。

 

倍音の付加は可能か?

真空管アンプの音の良さの一因は、3極管の偶数次歪がこれを補うという説があります。いわれてみればそんな気もしないでもなく、こうした議論の広がりを待ちたいところです。しかし一方で、補正回路はマイナーな分野ながら各種発表発売されています。代表的なものはDENNONのプレーヤーにはたいてい付いているαプロセッシングとか、国産高級プレーヤーの一部に搭載のフルエンシーDAC(新潟精密性で残念ながら廃番になりました)とかいろいろあります。いろいろあってどれがどうなのか、メーカーは中途半端にしか仕様を開示していないため議論が沸いてこないようです。研究している人もあまりいないようです。

重要な問題だと思うのですが、すでにCD の高品位再生はアナログ盤の復権、AV機器(ホームシアター系)関係の技術開発への移行(dtsとかサラウンドとか)、SACDの普及などで忘れられた議論になりつつあります。(2020.5追記)その後、DACの普及などでこの議論は再び重要なテーマとなりました。。

 

倍音付加技術の実験

百十番の理想の追求もボチボチねといった頃合に、たまたま所有していたMDデッキで少し実験してみました。

MDデッキとかDATとかCDレコーダーには単体DACとして使用できる機能が付いていて安くそこそこのDACが入手できます。所有しているのはパイオニアの機種で、少し古い物ながらこの分野は新規開発はもはや行っていないようで今だに現行機種でした。中古だと安く入手できます。そこで、同一機をもう一台買ってきて左右独立再生(つまりツインDAC)にチャレンジです。

パワーアンプも左右独立にするとセパレーションや電源の余裕などで確実に音質が向上します。問題は、デジタル信号をパラにするのではあまり効果的ではなく、デジタルのまま左右分離が理想です。自作DACには1台の中で回路上でこれを行っているものも珍しくありません。これだけでもかなりの音質向上と多くのマニアから報告されています。

幸い、ジッター対策としてこの分離機を持っていたのでこの実験に踏み切ったのが真相でした。第一通信工業のMcAUDIが出しているものです。

更にパイオニアの機種には20Khz以上を付加する補正回路「レガートリンクコンバージョン」が備わっていますので期待できます。惜しいのはアナログ回路がオペアンプなので単独で使用すると例の石の音になることです。クロック精度も並ですがジッター対策もMcAUDIで一応取っているのでとりあえずここまでで良しとします。

結果、すごいことになりました。実体感の向上がものすごく、スイッチ一つで可能なデジタル信号の左右分離も容易に聴き分けられます。

以下に掲示板から引用します。

ちょっと気持ち悪い 投稿者:百十番 投稿日: 2月28日(火)18時42分16秒

ツインDAC(左右独立のDAコンバーター)を使うようになって、CDとSACDの音質差が少なくなりました。

たまに、切り替えスイッチの入れ忘れで「デジタル段階でのLRの信号分離」を怠るとちゃんと「おかしいぞ!」と感じて聴き分けが出来ます。さらに、パワーアンプの左右独立と同様にセパレーションと電源の余裕が有効。

現在、パイオニアのレガートリンクのDAC(安物というか中古のMDプレーヤー)を使用しているので、20KHz以上の高周波が付加され倍音が美しく聴こえ(るはず)ます。

このところシステムの調子が良いので、オーケストラやジャズトリオが部屋の中で演奏しているように聴こえます。狭い部屋にそんなものの気配があって、なんだかちょっと気持ち悪い感じがします。(笑)
ああ、オペアンプがなければ「気持ち悪い生っぽさ」が「自然な生っぽさ」になるのではないか?そんなことを考える今日この頃です。(2006.3.4)

(2020.5追記)今にして思えば、ツインDACが効果的だったという事だと思います。その後、高級DACには、左右独立チップ(DACチップ)というのが当たり前に搭載されるようになりました。筐体内でツイン化する技術です。ツインDACは、電源回路も独立させるので、ツインアンプやバイアンプと同様に、電源独立効果も大きいと思います。

マクセルの倍音付加技術は良かった

その後、日立マクセルのPC「ヴレソン」という全くアプローチの違う製品に嵌ってしまいました。オーディオの道は一つにあらずか、う~~む。

このコーナーで研究してきたことも、一般化、製品化の傾向が出てきています。製品もマニア向けの高額機器にとどまらず、普及価格帯の部品単位でノウハウが活用されています。良い傾向と思います。ようやく、デジタルもいじれば音がよくなると言う概念が常識化してきたようです。

皆さん!「デジタルは皆同じ、デジタルに劣化なし」は迷信ですよ!!

2008年は国産の一般オーディオ機器にも高品位クロックが搭載されてきたようで、他にもいろいろあって劇的にデジタル再生が向上した年と感じています。その後の研究としてAir Mac + DENONのAVアンプ(単体DAC使用)にたどり着きました。まだまだ旅路は続きます。(2020.5追記)、3年後に追記されていますが、更に12年たって技術もマニアの知識も進化しています。しかし、いまだに迷信を信じておられる方も居て、時代錯誤はいつの世もあるのだなと感じます。