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真空管オーディオ国民システム構想

初回投稿(2011.11)
(テーマ1:オーケストラの弦楽器の倍音が美しく響く万能システム)
(テーマ2:安くは無いが比較的安価なハイコストパフォーマンス…..)
(テーマ3:実際に入手できる………………………………………………………..)

2014年改訂版も完成しました。

さてさて「真空管アンプ国民機構想」は我ながら良いコンテンツとなり、ページの評判も、機器の評判もすこぶる良かったので、調子に乗って「国民システム」も構想してみました。そもそも、サブシステムが手軽な上に異常に音が良いので、これを国民の皆様(外国の方はごめんなさい)にお薦めしようかというアイデアです。今回は、単なる紹介ではなく実際に本サイトを通じて購入したり、有償でコーディネートやコンサルタントを行うという趣向とします。乞うご期待!!

システム概要

PC → LANケーブル(無線は非推奨) → DLNAクライアント → デジタルケーブル → AVアンプ(内蔵DACと好みに応じてDSP使用) → 真空管アンプ→スピーカー
※AVアンプからサブウーハーを加える)

機器詳細

いきなりスピーカーから入ります。このコンテンツはこれなくして語れません。

LS3/5a

いわずと知れた、往年のBBCモニターの復刻版です。詳しくはこちらか、もしくはググってください。ヨーロッパ製スピーカーは傾向として弓を使う弦楽器の再生に優れています(by OZEKIさん)。米国製がギターなど弦を弾く楽器が得意なのと対照的です。それぞれの音楽文化を考えれば誰もが納得できそうな話で、百十番もそう思います。

マニアじゃない人が見たら、小さな外観からはミニコンポとしか思えないでしょうし、オーディオ暦の浅いマニアだと他のブックシェルフタイプと見分けがつかないと思います。2way密閉型ですが、正式にライセンスをBBCから受けて製造販売していたメーカーも複数あり、復刻版やらモデルやら多くのバリエーションもあり、結構値段もまちまちです。

百十番のイメージでは、新品で30万円前後の結構無理しないとオリジナルは入手できない製品といったところですが、中国製造品(ニセモノで無く)なども出回り入手しやすくなりました。円高ですし。。

能率が低くて、真空管アンプには不安ですが、以外に相性もとてもよくて小出力アンプでも普通の部屋なら全く大丈夫です。製品によって入力インピーダンスが違うのと、小型(卓上型といった方がぴったりかも)なので、国民システム的にTVの左右に設置(後述)する場合、スタンドとかをどうするかという心配があります。

銘機として名高いので、かなりのマニアにも一目置かれており、一部の偏見を持ったマニア以外には馬鹿にされることは無いと思います。こういうのって、所有の喜びを得るのに意外と重要ですよね。

次に、主役のアンプです。

ADVANCE アドバンス HC-2SE 完成品 (2A3真空管アンプ)

※アドバンスオーディオHC-2SE <キット>:2A3シングルアンプ[組立キット]もあり

はい、百十番の過去の作品集にもある2A3のロフチンホワイトです。キットと完成品を紹介しましたが、腕に覚えがある方は自作しても安くて簡単にできます。逆にパーツにお金を掛ければさらに良い物に仕上がります。国民機の300Bロフチンも良いのですが、市販されていません。(suzukiさんの会社から発売されるかもという話はあります)

バイオリンとかチェロとか、オーケストラの弦楽器再生には直熱3極管が相性良いと思います。300Bと違って、2A3はリーズナブルな価格でいろんなブランドが入手可能です。球のお薦めはソブテック(1枚プレート)です。

2A3 Sovtek 2本マッチ 真空管EX20

これだけで、CDプレーヤーとかとつないで、即オーディオシステムとして使えますが、それでは国民システムになりません。まだまだ先があります。

DENON AVアンプ AVR-3312-K

次に国民システムのキーパーツとなるのは、AVアンプです。内蔵パワーアンプは使用せず、プリアンプとして使い、プリアウトから真空管アンプに接続します。

ピュアオーディオという言葉が暗示するように、音を汚すノイズ源たる映像回路や、サラウンドのデジタル回路(DSP)を内蔵したこの機器は、オーディオマニアからしばしば嫌われます。かつて、オーディオに活力のあった70年代80年代初期まで、日本のオーディオの最新情報は池袋サンシャインとかで開催されていた「オーディオフェア」に集約されていました。日本オーディオ協会が、主なメーカーを束ね、マニアにとっては一大イベントでした。しかし、その後、東京開催だけでも4つのイベントに分割され、団体も別れました。

この原因の一つは、衰退するオーディオ(2ch)市場と、伸び行く映像市場のどちらを重視するか、業界としてコンセンサスがまとまらなかったことにあると聞いています。確かに、初期のAVアンプのアンプはおまけのような音質で、オーディオマニアの興味の対象にはなりえませんでした。

しかしここで重要なのは、近年、オーディオ機器は趣味の製品、マニアや富裕層向けの市場として閉鎖してきたのに比較して、AVアンプは今だに家電製品です。北米を中心に世界で大きな市場があり、大手メーカーにとっては大量生産が可能なジャンルです。そうした、大きな市場を背景とした、多大な開発費が投じられた結果、AVアンプは進化を続けました。さらに、ありがたいことにこの分野は日本製が強い。デノン、マランツ、オンキョー、ソニー、ヤマハ、パイオニアと各社頑張っています。

ここで重要なのは、デジタルイコライジングです。

マイクを使って、実際の試聴位置で音を計測し、劣化の少ないデジタル領域でそれを補正するというもので、高価ですがピュアオーディオでもこうした機器が人気のようです。2chのデジタルイコライザーは高価ですが、AVアンプはこれがおまけのように内蔵されており、(パラメーターの数や自由度は低いですが、性能は進化を続けています)プリアンプも付いてDACも価格に対して良いものが入っています。これは、オーディオ的にはかなりのウルトラハイコストパフォーマンスです。

メーカーの競争も激しいので、最近では音をよくするために、クロックの品位を上げたり電源回路を強化したり、オーディオの最新ノウハウをどんどん取り入れています。

マニアに嫌われる映像回路をOFFにするピュアダイレクトモードがあったり、マニアが好きなバイアンプ(ウーハートツイーターで独立したアンプを使用する方法)機能があったり、最新製品はDLNAクライアント用のLAN端子が有ったりします。ついでに、スピーカーを何本か足せば5.1ch再生もできますので、映画のサラウンド再生や、SACDマルチの再生も可能となります。

ソフトの種類がやや少なく高価ですが、オーケストラのSACDマルチ再生は本当に素晴らしいです。(一応テーマが2ch再生なのでこれ以上ここでは言及しませんが。。)

ヤマハ YAMAHAサブウーファーシステム YST-SW325-MC [YSTSW325 ウーハー]

次に、サブウーハー(スーパーウーハーとも呼ばれます)。LS3/5aが小型密閉型スピーカーゆえ、重低音は望めません。

それでもOKという人も多いかと思いますが、聴くソースによってはやはりそれがないと、、という場合が生じます。国民システムはさまざまなソースに対応(メインはクラシックのオケですが)したいので、安いものでもよいのでサブウーハーをシステムに加えることを推奨します。

実際、百十番が使用しているのははるか以前に購入したヤマハのローエンド品で、おそらく購入した機器の中で最も長持ちしています。まあ、低音にうるさい方はよいものを購入するか将来グレードアップをしてもよいですが、ここは中古で安く売られているようなものでも可とします。やる気の無いような表現と受け止められるかもしれませんが、ちゃんと理由があります。サブウーハーは設置とインシュレーターで結構調整できることと、前述のデジタルイコライジングがすごく効いてくるというのがその理由です。

時々オーディオ専門誌でも2.1ch再生として、2chにサブウーハーを加える特集をしたりしますし、実際にハイエンドオーディオ用にとても高価なサブウーハーがいろいろと売られています。ただし、百十番の経験では、これは調整が難しいです。

サブウーハーのボリュームと再生周波数帯域を調整するのですが、あるソースに合わせると別のソースに違和感が出るという結果になりがちです。デジタルイコライジングでマイクを使用して自動調整すると、なんだかんだ違和感は緩和されて、良い感じになることが期待できます。

H.264/HDMI 1080p対応 メディアプレーヤー(3.5インチHDD内蔵型) Donyaダイレクト DN-MP530

(2020.5追記)この項目は、当時、DLNAクライアント(プレーヤー)機器のリーズナブルな製品がほとんどなかったので、PC周辺機器から選定して紹介したものです。この当時はこんな機器もあったという参考・資料としてお読みください。いまでは、気の利いた液晶テレビやブルーレイプレーヤー・レコーダー、スマホ、タブレットなど様々な機器にアプリとして組み込まれていたり組み込み可能となっています。現在、アマゾンスティックでそれを実現する方法をご紹介しようと検討中です。(追記終わり)

おいおい、何だよこれ!オーディオ機器じゃないではないか。そういわれるかもしれません。

確かにその通りで、これはPC周辺機器でしかも中華系あやしい機器です。その前はIOデータの初期の製品を使用していましたが、設計の新しいこれに変えてFLACの再生も可能となり音も良くなりました。HDDも内蔵できてHDD冷却ファンもついていますが、オーディオにとって回転系の振動減は禁物。HDDは入れないでファンは取り外します。

この手の機器の使いこなし(ファームウェアの更新など)は、ドンゴロスの松さんと情報交換しながら進めましたので、そちらのブログ(その後ブログがリンク切れで行方不明です)をご参照下さい。

PCオーディオに詳しくない方は何のことか分からないので、解説します。

ここ数年のハイエンドオーディオは、LINNのDSシリーズが常にその中心に居ました。英国のLINNはアナログプレーヤーなどでもとても良い製品を作っていて、アンプはハイエンド機器には珍しく、薄型の小さな筐体がその特徴でした。薄型が何を意味するかというと、スイッチング電源を使用しているということです。スイッチング電源はノイズが多くて、オーディオには不向きです。いきおい、本格オーディオ機器は重い電源トランスを使用したアナログ電源が主流です。しかし、LINNはスイッチング電源で高音質を実現した稀有なメーカーなのです。

この電源は他社に供給されていないので、同社の製品を買うしか入手できません。中身も謎です。一方、最近流行ってきた(百十番はかなり以前から提唱)PCオーディオという手法があります。CDを一旦PCに取り込んで再生したり、ネットからダウンロードした音源を再生する方法ですが、USBオーディオ機器を使う方法(ポピュラーな方法)とDLNAクライアントを使う方法の2つがメジャーなアプローチです。

USBは、データをデジタル音楽信号にするのにPCがそれを行うので、PCのコンディション(CPUなどの性能やソフト環境、各種設定、PC電源やノイズ、USBケーブル)に音質が大きく左右されがちです。

DLNAはLANでデータ(音楽ファイル)を送って、クライアント機器でデジタル音楽信号に変換するので、コンディションが比較的安定しています。クライアント機器は組込OSなので、ファームウエアの更新や初期設定意外にはあまり状態は変化しません。ただし、機器に一定のデータが溜め込まれてから再生する(ストリーミング再生)ので、リアルタイム再生はできません。

という訳で、一度はやってみたいDLNA再生ですが、LINNはじめ機器が高価です。やっと最近国内メーカーなどから比較的リーズナブルな価格帯もでてきましたが、ためしにという手軽さはありません。前述のAVアンプに追加機能でついてくる傾向があるので、そうしたAVアンプを入手した場合はこの機器を別途トランスポートとして入手する必要はありません。

高価といいましたが、実はオーディオ機器ではなくPC周辺機器としては(種類は少ないものの)以前から安いものが存在していました。オーディオ機器とPC周辺機器の物理的な違いは、電源、振動・ノイズ対策(他にもコンデンサなどパーツが高級かどうか)です。そこで、国民システムとしては、電源を何とかすることを推奨します。商用電源のノイズから簡単に開放される方法はバッテリー駆動です。エネループなどを活用することを推奨します。

百十番はこちらを使用していますが、バッテリーながら中にスイッチングレギュレーターが入っているので、音はボチボチです。(ACアダプターよりははるかに良い)

ポータブルマルチチャージャー(容量18000mAh/3.7V 66Wh) VICTOR XP18000M

メインシステムでは、結構高価な実験用電源を使用しています。(かさばるし、更に高価な電源ケーブル使いたくなるし、やはりエネループ推奨)ガレージメーカーなどで、オーディオ用ACアダプターが発売されていますが、それなりの費用がかかります。ここでの良い知恵があったら教えて下さい。

もう一つ、AVアンプを使うにせよ、LANケーブルにはPCやルーターおよびスイッチングハブからのノイズ混入を低減するために安いのならこちら

NTT-AT DMJ100BTノイズカットコネクタ(LANケーブル対策用)

本格的なものならこちらを必ず入れてください。複数使用も効果的です。

ACOUSTIC REVIVE アコースティックリバイブLAN ISOLATOR RLI-1

また、LINNはじめオーディオ誌では、再生時にPCを使わずNAS(LANに繋がる独立したHDD類)を使用するのが推奨となっていますが、国民システムとしてはそこまで求めません。PCで充分(よほどうるさくなければ)です。PCの静音問題は、本来オーディオとは違うテーマだと思います。

注意点があります。ケーブルはオーディオ用を使用してください。インシュレーター含め全て好みで良いですが、間違っても家電の付属品の赤白とか黄色のコードを使わないように。LANケーブルもオーディオ用に越したことはありませんが、一般用の良さそうなものからはじめても良いかと思います。

DLNAクライアントは、スマホのアプリでリモコンのように選曲する手があるそうですが、百十番はスマホを持っていないので、上記の機器をAVアンプ経由でTVにつないで、TV画面から選曲しています。AVアンプの付属マイクを使用した自動調整は必ず行ってください。そして、イコライザーを通さない音と比べて下さい。イコライザーカーブもフラットよりメーカー推奨カーブとかの方がお薦めです。

しかしながら、イコライザーを通さない(パスした)音のほうが好みなら、それに越したことが無いのでイコライザーOFFで使えばよいのです。デジタルイコライザーはアナログイコライザーと違って、音の劣化が極めて小さくメリットの方が大きい場合が多いです。

まとめ

スピーカーや、AVアンプおよびPCなど既に持っているということもあるかと思います。さらに、AVアンプやサブウーハーは家電なので、中古や型遅れは驚くほど安く入手できます。AVアンプの内蔵アンプも最近は性能が良いらしいので、ポップス系の再生なら、真空管アンプなしでもかなり納得の音が得られると思われます。

細かい話ですが、このシステムは音量調節や選曲が試聴位置から前を向いて(TV画面かスマホで)リモコンで操作できます。いちいちディスクを交換しなくてもPCに入れた何百曲とかが選択可能で、これは結構快感です。

国民システムは、百十番の余った機材を映画鑑賞用にサブシステムとして組んだら、結構良くて、DLNAクライアントをトラポにしたら、驚くほど満足の音になったというのがきっかけで誕生したアイデアです。有償でコーディネートやコンサル及びインストールも引き受けます。(掲示板でのアドバイスは無料)。

サラウンドへの発展

国民システムに、リアスピーカーを追加すれば4.1chのサラウンドシステムが完成します。映画を見るのもよしで、百十番は調子に乗ってスクリーンとプロジェクターを入れてしまいました。(これを導入した最初の年の紅白歌合戦の生放送は大感激でした。スポーツ中継も生で観ると大迫力で良いです)

しかし、最大の魅力はSACDのマルチです。オーケストラをこれで聴くと、別世界です。ピュアオーディオの次元を超えて良いです。

リアスピーカーは小型・安価なものでも充分いけますが、センタースピーカーは下手なものを入れるくらいなら省略した方が音楽を聴く分にははるかに良いです。余裕があれば、リアもフロントと同じスピーカーが良いですが、AVアンプのDSPは、リアが小型でも、センター省略でも上手に補正してくれます。たいした技術です。

ちなみに百十番のリアスピーカーは、オーディオに嵌る以前に使用していたヤマハの小型のもの(NS-10MM)です。現行品ならこちらです。

YAMAHA ( ヤマハ ) HS-50M

 

追記と標準構成

2012年2月、本ページ作成から3ヶ月を経て、すこし世間の環境も変化してきました。AVアンプの例として紹介したDENONの製品も考えてみたらLAN端子を備えていてDLNAに対応しています。つまり、単体のDLNAクライアントとバッテリーは省略できるわけです。

さらにスイッチングハブまで内蔵し、SACDプレーヤーとのデジタル接続にも適したソニーのAVアンプが良さそうなので、改めて推奨させていただきます。

SONY TA-DA5700ES マルチチャンネルインテグレートアンプ

現在の標準構成です。

PCまたはNAS—–AVアンプ(SONY)—–真空管アンプ—-フロントスピーカー(LS3/5a)/リアスピーカー(ヤマハ)/サブウーハー (ヤマハ)

☆センタースピーカーは任意です(映画を見る場合はあったほうが良いですが、オーディオ的には賛否両論です)。
☆ノイズフィルター、オーディオグレードの各種ケーブル、インシュレーターなどは必ず使って下さい。
☆DLNAでの再生には、リモコン代わりにスマートフォンやPadを使うと更に便利です。

こう書くと、割とシンプルですね。

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