出雲のスーパービルダー「時夢彷流さん」のシステムを聴きに800キロのドライブ(2008.1)

すでにこの時のお店はありませんが

(2020.3追記)その後、お子さんも無事育ち引退され、お店はもうありません。引退時にご連絡いただいていましたが、サイトの更新を休んでいた時期でしたので、充分な対応ができませんでした。リンクも切れています。とても貴重なことなどをいろいろと教えていただきました。

 

真空管オーディオを求め国内長距離ドライブ

2007年の年末から2008年の年始にかけての休みが、カレンダーの関係で結構長期になりました。海外遠征も考えたものの、この様な時しか行けそうも無い長距離ドライブに挑戦。

ちょうど行きたかった出雲大社への初詣もかねて、相互リンクを貼らせて頂いている島根県出雲市の時夢彷流さんをお訪ねしました。

行き返りの様子や出雲大社などおまけ画像はこちらへ

 

時夢彷流さんのレストランへ

 

時夢彷流さんは洋食屋を経営されており、結構広い店の中にスピーカーシステムがあります。

店の外観の写真は、実は帰りがけに車の中から撮った物で、訪問と試聴は年も押し迫った大晦日の夜から始まりました。電話したら、「客が帰って店閉めた時間の方がゆっくり試聴できるよ」ということで、大晦日にお伺いしました。

 

足掛け2年の真空管アンプミニオフ会

終わった時には年も改まり、足掛け2年のミニオフ試聴会となりました。

時夢彷流さんのオーディオや音楽に対する考えは氏のホームページを参照下さい。(2020.5追記、隠居されたときに連絡いただきましたが、店もサイトも閉じられたようです、残念)

サイトでは辛口&高次元の内容が中心ですので、比較的オーディオ歴も浅い百十番などバカにされて終わるかも、と会う前は内心心配していました。

しかし、お会いしてみると百十番にもやさしく解説してくださる、若い頃は仕事でヨーロッパを飛びまわっていたという方で、オーディオ以外にも話が弾みました。

機材は別室に設置されています。(ゴージャス!)

パワーアンプは、メンテしやすいようにこの様に設置されていました。

 

インプレッション

まずはじめに、百十番が持参したピアノソロ「ショパン幻想即興曲、児玉桃」を聴かせていただきました。いきなりのブッ飛びです。試聴会などあちこち聴きにいくことが多いのですが、オーディオでこんな音は初めてでした。

ピアノと演奏者がそこに見えるのです。

いわゆる音像というもので、ピアノの位置とか言う生易しいものではなく、手の位置や鍵盤のタッチまでが見えてきます。

「これはすごいです!」「これだけの音は初めてです」「はるばる来た甲斐がありました」などと百十番があっけに取られていると、「これはHDCDですね、HDCDは音良いですよ」と時夢彷流さんが冷静に解説してくださいました。

しかし次に聴かせていただいた時夢彷流さんのジャズは、これまた凄い音でした。ドラムの特にシンバルとスネアが生々しく聴こえます。スピーカーを通したステージなどの音ではなく、部屋の中で直接ドラムがたたかれているリハーサルルームのドラムの音です。

総じて、アコースティック楽器の音が生の迫力で聴こえるシステムで、クラシックやジャズはソースさえ良ければすばらしいものがあります。反面、ご本人も指摘されていましたが、録音やマスタリングの良し悪しなど、ソースの粗が分かってしまいます。

この後、実験として聴いてみた百十番持参の音楽配信(16kでカットされた圧縮音源)のポップス曲は、ラジカセでカセットの曲を聴いているようなチープな音に聴こえました。

この後、SACDとCDの同一音源聴き比べなどオーディオ的な実験をやっているうちに年が変わりました。めちゃめちゃ有意義な年越しでした。

なお、真空管アンプの技術面では、他に例を見ない、徹底したNFB派でした。3極管アンプだと珍しくないのですが、多極間でNFBだとダンピングファクターが極端に低くなります。これを皆嫌うのですが、「問題ないよ!」とやってのけています。深いところにコツがあるのか、システムトータルで調整しているのかなどは、その後も謎のままです。

出雲試聴会の結論

時夢彷流さんはオーディオ歴が30年以上ですが、自作アンプにおいても各段を徹底的に追い込んで、さらにNFBを排除して根気良く追い込んだものです。リスニングルームも高い天井のレストランの響きの良さを活かしたもので、我々6~8畳間のオーディオとは次元が違います。

オーディオをやっていくと「生音を追求」か「心地よい再生音を追及」かで悩んでしまいます。時夢彷流さんは生音派ながらやはり「ソース(音源)の粗」が気になり、一方のサブシステムでタンノイを鳴らしたりしているということでした。

百十番は逆に後者ながら録音とマスタリングの良いSACDとかを聴くと生音に近い迫力を感じたりして、同じように「どちらがいいんだろう?」「両方ののシステムが欲しい」などと考えることが多いです。この辺りは、二人とも一致した見解でした。

帰宅後、真っ先に幻想即興曲を聴いて見ましたが、全然駄目でした。クラシックの再生はまだまだ追い込んでいく必要を感じました。

 

時夢彷流さん訪問の補足

他にも二人で話して一致した点や、教えていただいたノウハウの一部です。

・石の音が嫌い(一致)。

・アナログ録音が良い。

・ミュージックバードのライブものは良い。