フィールドコイル(励磁)スピーカーに挑戦

フィールドコイル(励磁)スピーカーに挑戦

励磁スピーカー挑戦顛末記

ドイツからオークションで入手したザクセンウェルケの1940年製のスピーカで励磁(フィールドコイル)スピーカーに挑戦しました
1940年製のスピーカで励磁(フィールドコイル)スピーカーに挑戦

 

フィールドコイルスピーカーとは

フィールドコイルスピーカーとは、「励磁スピーカー」「フィールドスピーカー」とも呼ばれる、電磁石を使用したスピーカーのことです。戦前はこれが一般的だったのですが、戦中戦後にかけて、永久磁石の製造技術が進歩して、以降の一般的なスピーカーは大部分がこれに置き換わりました。

 

WE(ウエスタンエレクトリック)オーディオ神話

WE神話というのが、オーディオマニアの一般常識的知識として言われています。

これは、真空管アンプにも言える事ですが、1940年代の米国ウエスタンエレクトリック社(ベルの子会社で日本のNECの創業者、電話などの通信機器製造の一部として業務用音響機器を製造開発)の音を未だに現在のオーディオ技術は超えられていないのでは?という話です。

これはどういう事かというと、当時のWEなどの通信(電話機器会社)は、今でいうアップルとかグーグル、少し前のNASAみたいなもので、世界中の技術系学生のあこがれの就職先であったわけです。学生だけではなく、世界中の優秀な技術者、研究者が高給と優れた開発環境でで集められていました。研究予算も半端ではなく、世界の最先端企業であったといわれています。

当時、電話の交換機や海底ケーブルを含む中継器の製造に加えて、これも花形産業になりつつあった映画産業が、トーキーに移行して、全米の映画館で音響機材が導入されていました。

この時期に映画館用に開発された機器は、今でも性能が高く、上手にメンテして使うと、素晴らしく音が良いといわれて、マニアの憧れのビンテージ・アンティーク機器となっています。当時のオリジナルの機器は、現在の市場価格も物凄く高いです。あこがれです。

筆者のような、真空管アンプ自作マニアの世界では、不思議なことに「WEの真空管のみならず、オリジナル部品を導入するだけでWEの音になる」という経験話が後を絶ちません。

出力管人気ナンバー1の300Bは、WEが映画館用に開発したもので、当時は市販はされていませんでした。業務用の音響機器ですので、メンテナンスも一体となったリース方式だったそうです。劇場用なので、セリフがクッキリ聴こえるように、メリハリのあるクッキリした音で、中音の厚みのあるリニアリティが特徴だそうです。

「行ってみよう聴いてみよう」で中国は広州のWEビンテージオーディオ専門店で聴いた機器は、メンテも良くて素晴らしかったです。一部のスピーカーがRCAを使っていると店主は残念そうにいっていましたが、CDに繋いで聴かせてもらったJAZZは、目の前にバンドが居るように感じました。

前置きがとても長くなっていますが、WEの技術の特徴を別の側面からいうと、フィールドコイルスピーカーや真空管アンプに象徴されるように、伝承されずに捨てられた技術(マニアが一部伝承したものもあるが、コマーシャリズムの世界、企業としては伝承されず)と、そもそも業務用リース機器の技術としてベールに包まれ、当時としても公開されていない技術だったといえると思います。

伝統工芸の世界と似ていますね。

今でも、オーディオと楽器の世界では、WEのケーブルの音の良さが定着して、ビンテージ物や同仕様による復刻生産品が結構市販されていたりもします。

フィールドコイルスピーカーも最近マニアの中では見直され(真空管アンプ同様)て、日本・中国・フランスなどで新製品や復刻製品が市販されるようになりました。

 

どこが優れているのか?

科学的にいうと、磁力の強さです。永久磁石に比較して、桁が違います。磁力が強いと、アンプで増幅された電気信号を振動板(コーン紙など)の動きに変換する時、制動力が高まります。

音の立ち上がり、音の収束が高スピードとなり、確かに打楽器だと明らかに永久磁石の慣れ親しんだ音と違います。

 

欠点(問題点)は

まずは、ユニットが高価。ビンテージ物で状態のよいものや現在生産されているものはすべからく非常に高価です。

次に、電磁石ですので、スピーカーにも電源を必要とします。

 

励磁電源が重要

この電源が曲者で、音の出口に近い部分の電源ということもあり、音に対する影響力が物凄く大きいです。納得の行く音を出すためには、ビンテージ物の高価な整流器を使った専用電源などが求められ、電源の回路や部品もかなり凝ったものが必要(当然高コスト)となります。

最初に自作したものはこんな感じです。

フィールドコイル電源
(回路図はこちらから)

定電流電源が良いといわれているので、それに近い特製で何とか自作可能だったチョークインプット電源としました。一度に2つは大変だったので、左右共通電源です。その後、ヤフオクで中古の実験用電源を2台入手して、現在はこれで落ち着いています。

 

入手顛末記

フィールドコイルスピーカーは欲しいけど、高くて買えないなあ、と思いつつ、Ebayを検索していたら、偶然、ドイツ製のビンテージ物で状態の良さそうなものが出品されていて、更に運良く(出品者はかなり不本意だったようです)低価格で落札できました。

約1ヶ月かけてドイツから米国経由の船便で運ばれてきました。

1940年代にドイツ(ナチス?)の一般家庭用ラジオに入っていて、戦後の東ドイツ時代も多くの家庭で使われ続けた(真空管ラジオは壊れにくくて、壊れても小さくない家具だったので、処分されずにかなり多く残ったようです。

入手できたのは→ Sachsenwerk(ザクセンウェルケ)、one Pair 8″ 20cm(8インチすなわち20cm口径1ペア)、fieldcoil fullrange speakers GR-3777 from 1930(30年代製?)


船便で到着

箱を開けまして

いくつか作った電源の失敗作

何とか完成(スピーカー専用電源)

 

とりあえずということで、秋葉原の小泉無線でバスレフ用の箱を買って、裏面を切り取って後面開放にとりあえずと思ったのですが、仲間からおしゃれな箱とおだてられ、今でも気に入って使っています。普段はネットを付けているので、誰も特殊な機器とは思いません。

 

その後の悩み

<掲示板から引用>

ザクセンの今後をどうするか( 投稿者:百十番 投稿日:2011年 6月13日(月)14時14分45秒 )

励磁スピーカーを導入して、スピードがめっぽう速いので、打楽器の再生品位はとても向上しました。励磁でしか聴けない音というのを感じます。

一方で、この数年、弦の音を何とかしたいとやっているのですが、これが上手くいきません。SACD(特にマルチ)ならいとも簡単に再生できますし、サブシステムのBBCモニターLS3/5aでも結構上手く鳴ります。いわゆる倍音というか、弦のザラザラ感とホールの余韻を聴きたいのです。ヨーロッパ系のスピーカーはこれが得意(さすがクラシックの本場)という定理を聞くので、ドイツ製のザクセンも何とかなるかと思ったのですが。。

試聴をして導入したツイーターを足して聴いていますが、今後どうするかを検討中です。今は車載用のハイパスフィルター(恐らくコンデンサ一発)のみツイーターに加えています。最初は、しばらく聴いているうちにラジオの音のような印象に変わったので、しばらく外していました。先日、前とは逆相にしたら今はまあまあいい感じ。

以前の状態で、デジタルイコライジングも試しましたが、当たり前の音になりすぎて面白くありませんでした。一応、今考えているのは、コンデンサーの銘柄と、容量を吟味していく。結線が安物のケーブルなので、WE とかに変える。こんなところです。それと、超広域用TAKET-BATPUREとサブウーハーもネットワーク無しで繋いでいるので、現状は、変則4Weyであります。

 

さらにその後は満足

・電源は、左右独立、市販実験用電源ユニットにて、定電流駆動
・低域をサブウーハーで補強(75Hz以下、逆相にて)
・車載用のハイパスフィルターという軟弱な方法にてSEASのツイーターを追加(1kHz以上、逆相にて)
・自作の真空管パワーアンプは8Ω仕様で、今一しっくりこない(ザクセンは4Ω)、安物のデジタルアンプが結構相性がよくて!?

アンプに関しては、月刊ステレオの付録デジタルアンプというのが、マニアの話題になって、早速入手して、カリン製のケース加工をしておられる方がこれ専用のケース加工希望者を募集していたので、応募しました。

千円のアンプに1万円弱のケース、というので遊んでいました。

電源によってコロコロ音が変わるので、ACアダプターをとっかえひっかえ、自作電源なども試していたところ、偶然入手した安物の万能ACアダプターがとても相性が良く、このような安価なアンプと電源で良いのだろうか?と思いつつも、満足している今日この頃です。

 

システム完成(2014.04)

オーディオを本格的に再開して約15年になります。再開後では3つ目となる目標達成となりました。満足できる状態になったので、一応のシステム完成とします。

オーディオ再開後に目標にしたこと

1)ショップの音質を目標に

再開した頃は当然ですが、オーディオショップやオーディオイベントで、その度に自分のシステムと比べると「いつかはこのレベルの音にしたいなあ」と 思っていました。機器が揃わず、まだピュアオーディオのレベルに達していなかった訳で、これは数年で目標達成できました。

2)レベルが向上すると

それなりのレベルの音が出せるようになると、今度は、自分の好みの音に調整していきます。自分が聴くジャンルの音楽が楽しく聞けるように。当時はJAZZ、ポップスを中心に聴いていましたので、これは5年くらいかかったかな。癒される音楽鑑賞をしたかったので、真空管アンプを自作するようになれば、一通りのオーディオ対策で到達しました。

3)オーディオ趣味としての目標を失う

2)において、一時目標を失った時期があります。

オーディオ機器に手を加えず、ひたすら音楽を楽しく聴いていました。それはそれで良いのですが、オーディオ誌を読んだり、他所に聴きに行ったり、機器を弄ったりというオーディオ趣味としての喜びが無くて寂しさもありました。

4)オーケストラ再生を新目標に

そこで、その時点で、先輩マニアの方とどうしても差がついてしまう、オーケストラの再生を目標にしました。クラシックは、演奏や作曲を趣味としている人意外は、音が良くないと聴いていてもあまり楽しくないのでは、と思います。この考えには、信州のサウンドパーツのご主人も同じ意見でした。

という訳で、クラシックが楽しいシステムは、ありきたりのシステムと違い、「響き」が違うという点と、バイオリンなどの弦楽器で特に差が出やすくて、弦の音のザラっとした感じが出ません。

生の音を聴くと、当然クラシックの場合ではホールの反響板などを使用して、響かせるのが前提となっていますし、それでいて、弦楽器が単一であろうと、合奏であろうと、倍音を伴ってザラっとした音で聴こえます。これはうっとりします。

完成への最後の道のり

話は戻って、フルレンジのザクセンに逆相でそれぞれツイーターとサブウーハーを付加して、ネットワーク無しでデジタルアンプでもよいバランスになってきました。

しかし、もう一息、目標までは達しません。上流は、DACにFF400、マスタークロックにルビジウム+アナログ電源、とかなり対策を加えました。でももう一息。

この頃、愛車が寿命となり、トヨタの中古車を購入しました。サードシステムとして、こちらの元々は単なる純正のカーオーディオに対して、あまったアイテムを何気に加えていきました。ある日気が付いたら、サードシステムのくせに「クラシックが楽しい」バランスも良いなかなかの音です。ゴルフ帰りに、職場の同僚(クラシックファンでよくコンサートに行っている人)に聴かせたら、仰け反っていました。

加えたのは、バッテリーに出川式(A&Rラボ)の「Cell Exert Module VerⅡ」(燃費も良くなる電源対策パーツ)、カーオーティオのRCAジャックに何かと賛否両論の大阪のプロケーブルのベルデン、ipod nano(回転系が無くバッテリー駆動なので電源ノイズも小さい、DACも良品)に可逆圧縮のファイルをCDからのリッピングにて。

というシンプルな構成です。

私はA&Rの出川さんのイベントなどにも出席したことがあるのですが、あまり違いが分からない方だったりします。何故か流行で、自作系で多少出川式電源系パーツを使っていたりします。もしや、これが効いているのかな??

フィールドコイルスピーカーの励磁電源用用に、CPMというパーツが発売されているので、メーカーに(というか出川さんご本人)直接お願いして、取り寄せました。これは、スピーカーの逆起電力が、励磁電源を揺さぶるため、その電源を元の電源に回生させるという(説明の)ものです。

効果はありましたが、最初に「かなり良くなった」と思ったものの、数日たつと良く分からなくなる、よくある展開です。まあ、それなりに効いている(はず)ということにします。

続いて、この逆起電力対策を信号系にも施したくなり、評判の良いスペックの「RSP-C3」を入れてみました。公式な説明では、スピーカーのインピーダンス平坦化という効果もあるようです。これは効きました。明らかに音が変わりました。

音楽もさることながら、映画を見ている時にその背景音や効果音にも違いを感じます。

RSP-C3 SPEC(スペック) リアルサウンドプロセッサー

ここまでやっても、完成というレベルには、まだまだと内心思っていたところ、最後に意外なことが効きました。

その1):4Ω対応

「真空管アンプのホームページ」ですから、ここは一旦、パワーアンプをデジタルアンプから真空管に戻します。とはいえ、4Ω対応のものがありません。いや、ひとつありました。Suzukiさんから貰った、6N1Pシングルキットです。Suzukiさんが中国を駆けずり回って、安くて良い汎用パーツを集めたキットです。発売価格は2万円しません。

百十番は、Suzukiさんに敬意をこめて、回路もパーツもオリジナルで組み立て、それなりの実力を確認していました。ご本人も「高度なアンプとの差が僅か」と言っていました。(真空管アンプの不思議!)ちなみに、5結でNFBも効かせています。

念のため、ロシア管や中国管では寂しいので、すべてヴィンテージ管に変えて初段は12AX7で、手持ちがたくさん有ったので、聴き比べて東芝管に落ち着いています。

デジタルアンプに比べて、帯域の狭さ(出力トランスで20Kから下がっています)や、ダンピングファクターの面で性能上のハンデを気にしましたが、聴感上は気になりません。デジタルアンプの「癖のないすっきりした感」から「音に艶があり」と期待通りの変化があります。(倍音の差はあまり分からず)

その2):意外なものが効果を

落語の落ちではないですが、最後の最後は意外中の意外!

マスタークロックの効果が、このところ薄まっているように感じ、ルビジウムよりも真空管クロックの方がまだ効きがほんの少し上回っているような。。投下したコスト含めて、そんなはずは。。。

気晴らしに、マスタークロックとワードクロックのそれぞれの機器間ケーブル(BNCデジタルケーブル)を入れ替えてみました。

ついでに、それまで<マスター>→<ジェネレーター>→<DAC>→<SRC2496>という順番でしたが、導入時に比較して不採用とした、<ジェネレーター>からそれぞれ<DAC>と<SRC>に直接接続して同一のワードクロックを送ってみました。これらのデジタルケーブルは、「性能がよければ同じだろう」と考えて、オーディオユニオンで適当に購入した高そうなデジタルケーブルや評判の良いオヤイデなどを使用していました。

これらの順番を適当に入れ替えて、中古ケーブルは、以前愛用していたオーディオ誌で好評だったデジタルケーブルに入れかえたのであります。

結局これが「激変~~!!」というやつで、ホールの響きや弦楽器の倍音、ギザギザ感が感じられて、ルームアコースティック対策の木製ブラインドの効果もあり、とてもコンサートホールに近くなった再生音が実現できたのでした。

これにて、一旦システム完成です。次は何を追及していくか、じっくり検討してみたいと思います。

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