過去の作品集:2A3pp

松並希活氏の回路を

松並希活氏の回路を基に、独自の部品構成で製作しました。(2002年8月完成作)
NFB回路のみ一部変更しています(というか、せざるをえなかった)

LUXKITのシャシーを入手して改造、そのため特異な容貌です。
真空管アンプというよりも、何だか石油化学コンビナートのようだなあと思っています。
しかし、さすがLUXでこの配置は意外に良く出来ており、例えば電源インレットの横に電源スイッチがあり使い勝手はいまいちですが、AC100Vの電源を内部配線でいったり来たりする必要が無く、更に良いのは、入力ジャックのすぐ近くに初段管があるためシールドケーブルが不要であったりします。

アンプ作りで大変なシャシーの穴あけが省ける上に、何故か高い市販の穴明きシャシーを買う必要が無く、百十番のアンプ作りのコンセプトのひとつである低コストに貢献しています。

このパターンは気に入って、ヤフオクで同様のシャシーを入手しており、次のpp製作に備えています。

音質評価(自己採点)

いつも割と一気に製作してしまう百十番ですが、構想から半年以上かけて製作しました。
完成は今年(2002年)7月です。
これが自分のアンプ作りの到達点として気合を入れて製作し、完成直後はあまりの音のよさに感激しまくっていました。
直熱三極管の、抜けるような高音の美しさと2A3特有の余裕のある低音、そしてppの出力の余裕が良い方向に出ています。
松並氏のねらいである電源部にフィルムコンを使用した音の透明度も再現できていると思います。
人気サイト「情熱の真空管」を主宰するべるけさんは2A3を例えて最初は「太ったおばさん」とか「色気たっぷりの年増」とかいうようなことを言っていましたがそのうち「近所のグラマーな若奥様」と表現を改めました。
本機では、フィルムコンの透明度と、ソブテックのやや高重心な所と、独自のレシピが効いて「色白で上品な」というのを付け加えたくなりました。
したがって、自己評価は「近所のグラマーで上品で色白な若奥様」といったところです。
しかし、反面コンディションにむらがあり夜と昼の電圧差なのか何なのか、昼間はいまいちよい音がしなかったりします。
更に、良くありがちですがボリュームを上げて一定の音圧にしないともうひとつ魅力が出ません。
よく奥さんに怒られました。

その他部品の話

カップリングコンデンサーは、ヒノオーディオさんに相談して東一のオイルコンを使用しました。
演出型のコンデンサーで、色気や音のコクに繋がっていると思います。
トランスは、真空管アンプ作りの中で普通最も音に影響があるといわれ更に高価であります。
百十番はこれに逆らって、電源・出力・チョークともノグチトランスの安価&良品を使用しました。
「安価なトランスでどこまでよい音が出せるか」というのが今回のコンセプトのひとつでもあります。
百十番の独自なレシピは、今回、線材・ACインレット・ヒューズに使用されています。
これらは、一般的な真空管アンプビルダーはあまりこだわらない物であります。
百十番は、真空管アンプマニアであると同時にオーディオマニアであります。
意外なことに、この二つのカテゴリーには溝があり評論家を含めて両方にまたがる人は少数派ではないでしょうか。
雑誌も「MJ」vs「オーディオアクセサリー」とか「ラジオ技術」vs「STEREOSAUND」というふうに微妙に読者層が違います。
真空管ファンの人に「電源ケーブルや信号ケーブルでの音の違い」という話をすると怪訝な顔されたり、オーディオファンに「ケミコンだフィルムコンだ、はたまたNFBがどうした」という話をしても「??」とうことになりがちです。

反省

いつもそうですが、熱対策に甘さがあるようです。
音質が一定しない原因かもしれません。
電源トランスを中心にかなり熱くなります。
夏場は不安でありますが、過去の作品よりは幾分ましなような気もしています。

真空管の差し替え実験

出力管に使用しているのは、比較的評判の良いソブテック(ロシア製)です。
2A3としては、初期のRCA管のような一枚プレートで珍しいのですが、同社の300Bを少し変えただけといううわさもあります。
他にも手ごろな価格だと中国管がありますが、以前の中国製2A3はノイズが出るだとか良くない評判もありましたので入手していません。
「CHINA G金メッキ」という表示には惹かれるものがあるのですが。。
いずれにしても、これが本来の2A3の音なのか300Bとのハーフのような音なのか検証する必要があります。
RCA管やオールドストックものを入手したいのですが、ヤフオクでもペア2組となると入札しても高価でついていけません。
最近再度流通し始めた、中国製選別管のゴールドドラゴンなどを狙っています。

さて、そんなこんなで最初に刺し変え実験試みたのは整流管の5U4Gです。
原回路では5U4Gまたは5U4でしたが、同規格と思い込みRCAの5U4GBを使用していました。
後で考えると、これではB電圧が高めに出るような。。
高域の美しさや、音質が安定しないのはこのせいではないかと疑いを持ちはじめました。
本来、2A3は低域の量感に特徴があるはずと聞いています。
一つ間違うとしまりのない低音や、ブーミーに鳴るとの評判が多いです。

そこで、ソブテックの5U4Gが安かったので差し替えてみました。
やや重心が下がり、コクが深まったように思えました。
しかし、この時プリアンプも管を差し替えたりいろいろいじっていたのでこの検証は十分ではありません。
結局途中で元に戻したのですが、やはりまた試してみなければと考えています。
今は、その後完成させたシングルのロフチンホワイトを鳴らしているので、この試みはもう少し後になりそうです。

次に、初段管はGEの6SJ7(メタル管)を使用していますが、メタル管は音が硬いとのうわさもあるので、ガラス管も入手することにしました。
ところが、いざ買いに出かけた秋葉原で狙っていた6SJ7GTが売り切れていました。
あらかじめひやかしに覗いていたラジオデパート2Fの某店にどこかのオールドストックものあったの思い出し、急遽そちらに向かいました。
ありました、NEC製です。
国産ってどうなんだろう?
手が出る価格なので、少し迷いましたが、心当たりの店全部探して他に候補もないので購入を決意しました。
ところが、よく見ると2種類あります。
一方は、一般的な良くある形で2段目に使っているシルバニアの6SN7を少し小ぶりにしたような感じです。
もう一方は、いわゆるメッシュプレートというのでしょうか、ノイズ対策の管内シールドに包まれています。
検討段階で見た、「復刻版実用真空管ハンドブック(誠文堂新光社)」に載っていた写真に似ています。
でもそちらはちと高く、本当言うと予算オーバーです。
でも最後の2本だし、つまりここで買い逃したら一生探しても入手できない可能性は大です。(こういう心理と戦うのが真空管を趣味にした宿命か)
というわけで、買ってしまいました。

わくわくしながら帰宅して刺し変えてみたところ、確かにやわらかくなったような、しかし、整流管のソブテックといいこれではソフト+ソフトで当初の魅力がなくなったような、何だかあたりまえというか少しボケたような音です。
この時点でプリが更に訳わからない状態になっていたし。。
で、しばらくしてもあまり音に変化も出ないので元に戻しました。
今考えると、初段はシールド効果を考えるとメタル管の方がノイズ的には有利なはずでOEMではないかと思える程RCA管に似ているGE管が悪かろうはずがありません。

一般的には米国管=ヨーロッパ管>国産>東欧>ロシア>中国といったのが今時の真空管の評価の一般図式かと思えます。(例外も多いでしょうが)

現在までに試したのはこんなところです。
まだまだ実験不足と思っています。

RCA管を入手して

ヤフオクで、中古のRCAの2A3をGETしました。H型ですが、中期以降というか戦争直前頃の球のようで「管球王国」に紹介されている写真などを見ると、H型とJAN(軍への納入管)の中間のような構造です。
結構使い込まれているのですが、何とか使えます。
ただし、結構グローが出るのと、ヒートアップするまでノイズが出る球があります。
シングルのロフチンホワイトだとかなり大丈夫ですが、このppだとややそこいらを我慢して使用する必要があります。どれか1本へたったら、シングル専用で使えばいいし。。
で、いろいろやってみた結果、初段をNEC管に変えて、整流管を5U4GBに戻した状態で落ち着きました。これで出る音といえば、当初2A3ppにイメージしていた音で、今までとは少し傾向が違います。
ソブテックの時のすっきりした色白系の美音ではなく、分厚い音になりました。
オーディオアンプとしては、ソブテックの時の方がいい音なのかもしれないのですが、百十番が1番最初に真空管アンプに憧れ求めた音のイメージそのもののように思え、このアンプはこれをひとまず終着点としておいたほうが良いのではないかと考えました。
低音の量感があり、分厚くて甘く、少しふわっと来て高音の抜けも解像度もボチボチといったところです。
これこそ、多くのファンを魅了したRCAの2A3本来の音かもしれません。

初段もRCA(赤球)へ

初段は、GEの6SJ7でしたが、RCA製CRCの5693を入手して変えてみました。外観は色と文字が違うだけでそっくりだし、OEMかなんかで中身同じではと思ったり間もするのですが、音はさすがにこの球では最も評判の良いものだけに向上した気がします。
出力管と同じ丸にRCAという戦前のマークが入り、色も赤と強烈ですので半分以上は気分的な問題ではないかと思います。(気分は最高!)
今回入手した球は中古で使い込まれており、数字を彫りつけた傷さえありオールドストックものだったGEと比べると汚いです。
しかし、その方がいかにもアンティークな感じで音が良く感じるのでした。

現在では、新作のプリの効果もあり一時いかにも2A3な低重心化したものが、製作当時の品の良い高音と力強さが加わり広帯域化しました。
「近所のグラマーで上品で色白な若奥様」は最近エアロビ初めて筋肉付いて来たようです。

この状態が、このアンプのベストの状態であるように感じます。
ひとまず完成といった感じです。
2A3ロフチンなどと比べると、しばらく「出力管の数倍あるくせに、負けたかな?」と感じていたのがなくなりました。
それぞれの良さ(しかも完成されたように感じる)を感じます。

出力管をソブテックに替えると、いきなり高音が持ち上がります。
輝く高音、さわやかな音系、少し悪く言うとドンシャリっぽい。
300Bって、こんな感じかも。
(ソブテックの2A3は、同社の300Bの改造モデルといわれていますし。)
でも、これも個性でメチャいい音の範囲を超えているわけではありません。

エージングに時間がかかるというビタミンQが安定したのか、新プリの効果か、音質も安定してきました。
ただ今、杉本家に里子に出してタンノイモニターゴールドを駆動中です。

預かり手募集第1号の杉本さんの試聴報告①

3時間ほど聴きました。
以前にくらべ、圧倒的に楽器の存在感があります。
パワーに余裕があるせいか、ppからffまで破綻が少ない。
楽器のエネルギーを実感できるのが、嬉しいです。
今聴いているのは、大好きなホリガーのオーボエ協奏曲です。
ヴィヴァルディの作品、1981年録音のものです。
このアンプのせいでしょうか、いぜん聴いていたときより、木管が
少し奥に引っ込みます。フルートもクラリネットも。
弦楽器は素晴らしく鳴ってくれます。
でも、いちじるしくバランスが崩れるようなものでなく、いままでに
比べてということです。
本来の録音バランスと言っていいでしょう。
このタンノイは、近くで聴くとがっかりするほどいいかげんな音ですね。
しかし、いつものリスニング・ポイントでは、別物です。
私にとっては名器です。
こんどフルートのカラオケを手に入れ、妻の生演奏と合わせてみよう
と思っています。
そう思わせる存在感があります。

試聴報告②

この一ヶ月、朝はほぼ毎日聴いております。

きょう、Roland SRA-200Eにつなぎかえて試聴してみました。
もちろん、百十番さんの2A3ppと聴き比べるためです。
結果は歴然。SRA-200Eもパワーはこのタンノイにとって十分ですし、値段だってそこそこですし・・・・
百十番さんの2A3ppが、『上品で、グラマーで、色白な近所の若奥さん』、なによりも引きつけられる魅力が浮き彫りになってしまいました。

ひとつ発見したのですが、SRA-200EはLRの位相特性がいいことです。どこの周波数帯もずれない、ただそれが音色ののびのなさと相まって、つまらない『年頃をすぎた近所の娘』のように、振り返って声でもかけて・・・とはならないのです。
百十番さんの2A3ppで、フルトベングラーのベトーベン5番、1947年録音モノラルを二つのSPで聴くと(もちろんLRトラックの片方だけで)、SRA-200Eで同じ事をやったときと、結果が魅力的に違うのです。
SRA-200Eの場合、二台のSPの真ん中で聴くと、あのモノラル特有の、頭の中に音源が固着して、まったく頭から出てこないのですが、2A3ppは左右の耳がよみがえるのです。
このことは2A3ppをほめることにならないかも知れません。
しかし、この微妙な違いがステレオ音源を再生したとき、複雑なバリエーションで音に変化を加えるでしょう。
実際の生演奏では、ひとつの音源がさまざまな反射音になり、一つとして同じ位相、時間になることはありません。
そのことが人の耳にはいきいきとした臨場感になって感じられることでしょう。
真空管アンプの『自然さ』はスペックではない、とはこんなことも関係しているのでしょう。
ますます気に入ってしまいました。

5U4GBや、RCAの2A3もぜひ聴いてみたいですね。

最終結果

このアンプは、杉本さんのタンノイとあまりにも相性がよく、杉本さんと離れられなくなりました。百十番もそんなつもりではなかったのですが、結局実子縁組みとなりました。元気でな~~!!

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